日東イシダ 株式会社

日東イシダ 株式会社

東北の産業を支えている誇り

1923年に創業し、2023年に100周年を迎える歴史のある会社。 その成り立ちはとても珍しく、創業当時の宮城県知事が、「仙台に『はかり』を作る会社がほしい」ということで出資を集めて、株式会社として設立された。 「はかり」という公共性の高いものを扱っていることで、「はかり」を通して世の中の安心や信頼を確保しているところが特徴の会社である。

会社概要

代表者:鍋島功 
設立:1923年
資本金:7,000万円
売上高:41.6億円(2018年11月)
従業員:166名
本部所在地:仙台市若林区卸町五丁目3番5号

経営者に聞きました
 ~Interview with exective~

代表取締役会長 鍋島孝敏さん

あらゆる分野に、
深いつながりのあるお客様が…

仙台で長い間事業をしているので、東北六県に長い付き合いのお客様が多いです。はかりは売ることも大切ですが、お客様が使っている間ずっと正確でなければいけません。ただの取引だけではなく、メンテナンスも含めて東北各地のユーザーとずっとつながり続けているという点が我が社の強みです。 取引先で一番多いのが、食品を扱っているお客様です。魚市場や農協、食品加工工場、小売店など川上から川下まで必ずどこかではかりは使われていて、そこに深く関わっています。その他には廃棄物回収業者や製紙会社など、何か物を作っている工場には必ずどこかにはかりがあるので、ある意味、産業のあらゆる分野にお客様がいるという点も強みです。

経営者の仕事は、会社の外にある

私は昨年の1月まで社長でしたが、いまは弟に社長職を譲り会長となりました。 社長時代から行っていたのが新卒学生の採用活動です。これは私が経営者として一番大切な仕事だと思っています。毎年3月から合同企業説明会が始まるわけですが、まず最初に学生さんと会って、会社の説明や魅力を学生さんに伝えることが、経営者としての大事な仕事だと考えています。あとは会社のなかで相談事を受けたり、会議に出たりなどは当然行っています。

私は、社長や会長の仕事は会社のなかにはあまりないと考えています。直接仕事に関係ないかもしれませんが、会社の外に出てさまざまな分野の人と交わり、いろいろな話を聞いたりすることで、会社にとってプラスになることを持ち込むことが経営者としての仕事です。お客様との関わりは当然大事ですね。

伝える力とプラス思考

学生にとっては意外なことかもしれませんが、地元の中小企業には「人事部」というものは存在しない会社が多く、そのような企業では、経営者が「こんな人材が欲しい」と考えるケースがほとんどです。

私が考える欲しい人材は、まず「読み書きそろばん」ができる人。これは伝える力です。社会人になると、文章を理解、報告、発信する力が必要になってきます。また、基本的な暗算力も求めています。このために学生が今からできることは、新聞や本を読むことです。斜め読みでもいいから毎日、新聞に目を通す。また、自分の興味のある本でいいので、本を読むことで、理解したり発信したりする力がついてくると思います。

もう一つは、プラス思考な学生です。前向きな学生がこれから必要な人材になってくると思います。ですから、面接では思考がプラスかどうかを見ています。学生時代の経験をマイナス思考で話すか、プラス思考で話すかを観察していますし、面接時の話す全体の印象もとても大切です。

面接は緊張してしまうのが当たり前だと思いますが、何とかして自分のことを伝えようとしている姿は印象に残るので、自分らしさを出してほしいですね。

総務部 総務課 白石和輝さん

若手社員によるプロジェクト

新卒の採用が厳しいのは、地元中小企業全体の問題です。そんな中、我が社では、若手社員を中心に現役学生との交流を通して、会社をアピールしようとする取り組み『新卒採用強化プロジェクト』がスタートしました。こうした学生取材の受け入れや、企業説明会に出席し、積極的に学生にアピールしていきたいと思っています。そして、説明会で我が社に少しでも興味を持った学生には、ぜひ実際に会社を見学しに来てほしいです。実際に来て、見て、触れて分かることがたくさんあります。



若手社員に聞きました
~Interview with young generation~

流通・物流システム部 山田紋徳さん

アルバイトの経験がコミュニケーションの力をつけてくれた

学生時代は正直、あまり勉強に熱心な学生ではなかったです。どちらかというとアルバイトなどを重点的に行っていました。実際に就職活動を始めたのは、4年生の6月ごろ。そこから10社くらい受けて内定がもらえないなか、12月くらいに大学の進路就職課の方に紹介していただいて、この会社に内定をいただきそのまま就職してここまで来ました。

アルバイトを通して、色々な年代の方とコミュニケーションをとる機会が多かったので、面接などで緊張はしたのですが、比較的に落ち着いて話すことができたかなと思います。学生生活のなかで、新聞などを読んで社会の流れを知ることや、パソコンの基本的な使い方を勉強しておけばよかったと思っています。

未知の世界へのチャレンジ!周囲の支えで成長中 

入社1年目の時は、特殊な業界ということや、はかりのことを何も知らずに入社したので、営業同行などを通した勉強から始まりました。3年たった今は、1人で営業に行き、お客様が抱える困りごとに対して解決につながる製品を販売しています。 お客様の役に立てた時に、「ありがとう」と言われたり、喜んでもらえた時はやりがいにつながりますし、今後も頑張ろうという気持ちになりますね。

また、仕事で失敗してしまった時や悩んだ時は、先輩社員や上司に相談させてもらっています。営業同行をしていただき、失敗を良い方向にもっていっていただいたこともありました。職場の皆さんがとてもフレンドリーなので、なんでも相談しやすいです。ここが中小企業の良いところですね。やはり、知識的にまだまだ未熟ですので、常に相談しながら自分の知識につなげるようにしています。

女性社員に聞きました
~Interview with women~

流通・物流システム部 主任 伊藤融さん

社内の理解が女性の力を引き出す

産休・育休を経験し、現在は二児の母です。育休で10カ月会社を離れ、「みんな今はどんな仕事しているのかな」と思っていた時に、上司から連絡をいただき、会社のことを把握することができました。その後、育休を終え仕事に復帰しましたが、体力的・精神的についていけるかとても不安でした。 しかし、会社は子どもがいることへの理解と協力があり、子どもが熱を出して休まなければならない時も、周りの方が協力的なので、家庭と育児の両立もストレスを感じずにこなせています。スムーズに仕事復帰でき、両立できているのは、社内の理解が大きいです。

困ったことがあっても、上司、同僚に相談しアドバイスをもらい、時間をかけずに解決できています。社内全体が相談しやすい雰囲気なので、一人でため込むことなく、仕事に取り組めています。

衝器製造部 設計課 佐藤唯さん

はかりの可能性は無限大!

私たちの会社には製造部門があります。お客様が何ではかりを使いたいのかなどのニーズを聞き出し、オーダーメイドで大型のはかりを作っています。はかりは、幅広い分野のどこかで必ず使われるものです。そのようなものを作ることができるのが魅力ですね。 過去には、動物園のゾウの体重計を作ったこともありますよ!

    


取材の感想
~Interview impression~

社会福祉学科4年(当時) 畠山慎吾
社会福祉学科4年(当時) 畠山慎吾

お客様からの信頼が会社の継続に…

はかりといえば、スーパーマーケットや商店街での量り売りのイメージが強かったのですが、食の業界以外にもモノづくりの様々な現場で利用されているものだということを知りました。取材のなかで、お客様の安心や安全を大切にしているという点が印象的でした。ただの取引で終わらせずに、はかりの正確性を確保するなど、お客様からの信頼があるからこそ長いお付き合いができるのだと感じました。




社会福祉学科2年(当時) 田母神咲来

社内が「思いやり」であふれている  

今回初めて直接企業に伺い、実際取材しないとわからないことを知ることができ、とても貴重な体験になりました。

私が特に印象的だったのは、鍋島会長がおっしゃっていた「女性社員の能力を生かさないわけにはいかない」という言葉でした。私だけではなく、他の女子学生も仕事をするうえで一番気になってくるのは、結婚・産休・育休ではないかなと思います。このことを聞くと「子どもを産むことを社内のみんなで応援していく」と話してくださいました。「産休って全く悪いことじゃない」という言葉になんだかうれしい気持ちになりました。伊藤さんが家庭と仕事の両立を大変と感じないとおっしゃっていたことも、社内の理解や協力があるからこそなんだなと感じました。女性が働きやすく、とても社内が思いやりであふれているなと思いました。 

今回の取材はとにかくすごく緊張しましたが、終わって振り返ってみると、なかなか経験することができないことだなと思いました。取材で聞けた貴重なお話を、これからの大学生活や就職活動に活かしていきたいと思います。

(取材:2019年3月)